影響力の武器イメージ

名著「影響力の武器」から、仕事に活用できる心理学①

久しぶりに読んだぶっとい本がかなり良かったんです。忘れないためにも、書きます「影響力の武器。」
飲食店経営で活用できる理論も盛りだくさんです。

影響力の武器

太いっ、、、、、、。仰々しい、、、。
この本に出会ったきっかけは別の本でおすすめされていたからです。
広告コピー

きっかけはこの本。
僕はコピーライターになりたいわけではありません。念のため(笑)
ただし、文章を作る力は向上したいです。なので、アマゾンでたまたま見つけたこの本を買ってみました。この本もかなりいいです。知られざる広告コピーの作り方やいいコピーを何で評価するのか教えてくれます。そこで、紹介されてたのが、上の太っとい本。「影響力の武器」です。噛めば噛むほど味の出る、スルメ本とでも言いましょうか。
かなり使えると思ったので、本の裏表紙にマインドマップでまとめました。   ※マインドマップとは?
影響力の武器マインドマップ

「影響力の武器」その説得力と高い有用性

影響力の武器とは? 

ロバート・B・チャルディーニという社会心理学者に書かれた名著。何十年も前に書かれた本であるにも関わらず、現在も世界中で売れ続けいる。
人はどういう状況で判断力が鈍るのか?成長している企業は、心理学をどのように活用しているのか?それに対して防衛する方法はあるのか?について、非常にわかりやすく書かれています。

この仰々しい本の特徴

①事例が豊富すぎる。

太いだけあります。そうなんです。学者の方が書いているだけあって凄いんです。「①を根拠に②だと言える」という短絡的な話ではありません。
「①も②も③も④も⑤のケースについても同じ原理が適用できる」⇒
「よって原理Aだと言える」
「それを試すために、⑥と⑦と⑧の実験を行ってみた」
「するとより強力な原理Aが見えてきた」
というような構成になっています。とにかく実例・実験例がしつこく出てきます。また、粗い実例だとボロが出ますが、きちんと整合性のある実例が出てきます。

②体系的に理解できる
上に書いたように、しつっこく実例と実験の内容が出てきます。きちんと論理的にまとまっているため、基本的な原理を勉強できます。そのため、細かいハウツーではなく、応用がききます。覚えておけば、実際にビジネスに役立つと思います。現に僕もこのブログで書く事で記憶に定着させようと必死です。(笑)

知っているようで知らない人間の行動

「人間について詳しく知っているか?」と聞かれる事は長い人生の中でもたぶんありません。「自分は人間について詳しく知っているのか?人がどう感じ、どう行動するのか知っているのか?。」そう自問してみると、なんだか自信が無くなってきませんか?
この本を読むと、わかったような気になっていただけだと気付かされます。冒頭でこういうエピソードがあります。

ある観光客向けのジュエリーショップでターコイズのネックレスを売り始めました。値段の割には質が良いはずの物なのに、全然売れません。オーナーは
「なぜだ!もうちょっと安く売ってみよう!まだ売れないか!じゃあもっと安くしよう」それでも全然売れません。諦めたオーナーは在庫を処分しようと、「半額で売るように」とメモを残して買い付け出張に行きます。
戻ってきたら、在庫は一掃されていました。ただし、価格は半値ではなく、アルバイトがメモを読み違えて、2倍に引き上げていたのでした。つまり逆に値段を倍にした事で、今まで売れなかったものが、売れだしたのです。

我々は、思考の近道に迷い込みがち

本書では「思考の近道」とも言われています。曰く、現代人は多忙&選択肢が多すぎる毎日で、一つ一つの物事に向き合えなくなっています。そのため判断を簡単にするため、「この場合はこれに従う」という簡易版の判断基準があります。そもそも「考える」という作業は負担の大きい作業です。そこで、この思考の近道を多くの人が使います。「迷ったら、だいだいこの方法を取れば大丈夫」ってやつです。それは、ある程度合理的ではあるが、マイナス面も存在します。本書はその現象をビジネスで活かしたり、防衛するための本です。

ジュエリーショップで何が起こったのか?

なぜ価格を2倍にする事で完売できたのか?理由は至ってシンプルです。そのジュエリーショップは、観光客中心でした。観光客は、ターコイズネックレスの相場観がありません。品質に対して価格が高いか安いかがわかってないのです。そこで、価格を基準に品質を判断していました。観光客は高い物=品質の良い物と判断したのです。これが思考の近道の一例です。そんな単純な考え方!と思うかもしれません。しかし、自分に相場観が無い場合、どうでしょうか?

思考の近道へ迷い込む条件

このように、「思考の近道」が起こるのは、いくつかの条件が必要です。「品質が高い=高品質」は、「相場観が無い」という条件が必要です。
この事を前提に飲食店で考えると、例えば、「他のお店にあまり無い食材や料理を提供する」⇒「そのメニューの相場観が無い」⇒「高い価格を設定する」⇒「おいしいのでは?」⇒「注文」という流れです。もしくは、よくあるパターンとして、観光客に対して地元のメニューを高めに設定しているお店もあります。これも地元のメニューに相場観が無い事が要因になってます。ただ、それなりにおいしいと思われないと、口コミで悪い評判がたってしまいます。


 

「お返し」の影響力

前振りが長くなりました。ここからが、本章です。最初に紹介されている「影響力」がこの「お返し」の力です。
まずは、本の事例をご紹介します。
突然ですが、あなたはマーケット調査会社です。郵送アンケートをより高確率で返送してもらうにはどちらの方法が良いでしょうか?

①事前のプレゼントとして、5ドルの小切手を同封して送る
②「返送した後に50ドル送ります。」と書いた紙を同封する。

この実験の結果は①5ドルの圧勝に終わります。金額にして10倍もの差があるのに、です
ポイントは先にもらっているかどうかです。これがお返しの影響力です。人は、何かを与えられた場合、それにお返しをするように教育を受けてきています。社会人として生きるために、プログラムされていると言ってもいいでしょう。そのルールを破ると、人間関係が難しくなります。そのため、お返しをしていない状態は、アブノーマルかつ、気持ち悪い状態なのです。

余計なお世話でも返したくなる愛がそこにある

このお返しの影響力の大きな特徴は、余計なお世話をされた場合でも、お返しをしたくなるという事です。

アメリカのある宗教団体が行った勧誘方法がまさにそれです。力を使っています。
お返しの影響力を取り入れた寄付金集めを行ったのです。道行く人に協会の小冊子や花を渡し、寄付金をお願いします。人によっては花を返そうとしますが、「いいえ、これは私たちからのプレゼントですから」と受け取りません。すると、余計なお世話でも、やはり「返さなくては」という意識が働きます。結果、その宗教は急成長しました。

お返しの力イメージ

お返しの影響力は仕掛ける側がコントロールできる

ここから言えることは、

お返しの影響力は仕掛ける側が有利という事です。
余計なお世話でも人は恩義を感じます。つまり、何を渡して、何を要求するかは仕掛ける側が自由に設定できるという事です。
上の例だと、まず、
何をプレゼントに使うか?
・花や協会の小冊子
あくまで何をプレゼントするか決めるのは仕掛ける側です。
何を要求するか?
・寄付金
これも、仕掛ける側が、寄付金を見返りにする事を要求できます。

仕掛ける側のポイント

ポイントは、「花をあげるから、寄付金を下さい」という「交換」では無いという事。
「あなたが寄付する、しないに関わらず、まずお花をプレゼントします。これは単純にプレゼントなんです。」
「その後、もしよければ寄付をお願いします。」
↑これが重要です。プレゼントについては、なんの下心もなく行っている体(てい)。そして、プレゼントをもらったそこのあなた、どうしますか?という事なんです。
最初の例は交換による同時進行の話です。2つ目は「先に」と「後に」という時間軸があります。

普段しれっと行われているお返しの影響力

ケース①売り子の女性

スーパーを歩いていると、売り子の女性が声をかけてきます。
「新商品のお菓子です。お一つどうぞ」
ついつい食べてしまいます。
その後、、、っ しまった!なんか買わないと悪い気が、、、・

ケース②銀行員の話
このブログを書いている渡慶次は、4年前まで銀行員をしていました。銀行では、取引の無い事業所に飛び込み営業もやってました。取引の無い事業所に対して、どのようにアプローチしていくべきでしょうか?それは、情報や知識やコネクションを提供する事です。なんとか世間話をするような間柄までこぎつけ、情報収集します。そこから、相手先に対してどのような貢献ができるか考え、提供します。
ここでは、相手に「先に」提供するのは「情報や知識」です。なんといってもタダなところがいいです。しかも、精度が高ければ相手先に貢献できます。その後こちらの要求としては、取引を始めてもらう事にあります。場合によっては大型の融資や預金を獲得する事ができます。まあ、簡単にはいきませんが(笑)
銀行員に限らず、営業職は、相手先に「情報」で貢献できればスムーズに入り込めます。あとは相手先に適度なお返しを求めていきます。


 

お返しの影響力、強烈なBパターン

えらい長文になってきました。元々の本が太いんで、ご勘弁を。ここまでの内容が、第2章「お返しの影響力」の前半部分です、、、、
最後の章まで書き上げられるのか、不安になってきました(笑)気を取り直してすすめていきます。これまでの内容が、人は「恩を着せられる」⇒「要求を断りにくくなる」という影響力について書きました。次はいわば、Bパターンについてです。

交渉成立

拒否させて譲歩のコンビネーション

恩義⇒要求のAパターンに対して、Bパターンは「拒否」⇒「譲歩」の流れをとります。ただし、どちらも相手に借りを作らせるというお返しの原理は同じです。

アメリカで、ニクソン大統領を辞任に追い込む事になった事件があります。支持率も高く、再選を確実視されていました。
しかし再選対策委員会を取り仕切っていたリディという男の計画を実行してしまい、失敗。辞任に追い込まれました。リディの計画は、
敵対する民主党の本部に侵入⇒盗聴器を仕掛け、相手議員を脅迫。場合によっては、誘拐を行うための組織を編成する。というものでした。

この計画はかなりの危険性があります。そして25万ドルという経費のかかる計画でした。しかも、元々リディはあまり仕事のできる男ではないという評価でした。ではなぜ、そんな男の計画を委員会は承認してしまったのか?
実は、最初リディから提案された計画は100万ドルの経費がかかる、めちゃくちゃ規模の大きい計画でした。そこで、委員会は計画を「拒否」しました。しかし、リディはその後「譲歩」します。
「では、50万ドルに金額を落とした、この計画ではどうか?」
委員会は拒否。
「わかった、さらに削ろう。25万ドルでできる範囲でやる。」
、、、、、25万ドルは当時でもかなりの金額です。それでも、最初の金額の4分の1になったため、「じゃあまあ、いいか」という空気が委員会に流れてしまったのです。計画の会合に3回目以降から参加したメンバーが一人だけいました。その一人は最後まで計画に反対していたそうです。これも、「100万ドルから始まっている」という刷り込みが無かった事で冷静な判断ができていたという事でしょう。計画はあっさり失敗しました。委員会では「我々はどうしてこんなに馬鹿な話に乗ってしまったんだろう」という、あまりにも大きなミスを後悔する事になりました。

拒否⇒譲歩を成功させる、「要求下がった感」

このように、拒否⇒譲歩のコンビネーションは大統領を辞任に追い込む企画を議会で通してしまいました。相手に「借りを返したくさせる」というロジックはAパターンと同じです。
「100万ドルを断ってしまったし、その後50万ドルも断った。25万ドルなら、相手も譲歩しているし、この辺で手を打っておくか。」
ポイントは要求下がった感が出ているかどうかです。先ほど書いたように、25万ドルは大金です。しかし、最初の要求より下がったように感じるため、目眩ましになってます。
最初より要求が下がった感が大事です。

「要求下がった感」の生み出すもう一つの力

先ほど書いたように、この方法は実際の要求の大きさを忘れさせる力があります。さらにもう一つの力が、相手に満足感を与えられるという事です。自分が拒否した事で相手が譲歩案を出してきた⇒自分の意思通りに交渉がまとまった⇒満足感 につながるのです。交渉結果に満足感があると、次の交渉にもつながります。


 

影響力の武器「お返しの力」まとめ

自分としては、ここまででかなりの長文でした。そしてまだ第2章までしか説明できていない事実(笑)
まだご紹介できていない影響力は以下の通りです。
第3章「一貫性の力」
第4章「社会的証明の力」
第5章「好意の力」
第6章「権威の力」
第7章「希少性の力」
今回取り上げた「お返しの力」は、飲食店向けというよりも営業を行う業態に適した力です。しかし、こういった知識を持つことで、思考の近道に入り込むのをストップできます。判断力を鈍らせる要因をあらかじめ知っておく事が大事です。
第3章では、「人は一貫した人間でいたい」という影響力について説明しています。ここでは、飲食店向けの事例も出てきます。またしても、長文でしょうが、もしよければ読んでやって下さい(^_^;)


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