ストーリーと女性

ストーリーがある事でヴィジョンは強化されるのか|実験2

とりあえず、入社一年目の決算で大赤字をくらいました。僕も入社後漫然と過ごしていたわけでなく、自分なりに飛び込み営業で新規顧客を開拓したり、コストカットできる部分はカットしたりと、最大限の努力を行いました。しかし、結果は惨憺たるものでした。なんせ一袋売るたびに100円赤字になるくらい仕入れ原価が高騰したわけです。「ここまで原価が上がってしまったらね〜仕方ないよ」「まあそのうちよくなるさ」などなど。社内に緊張感はありませんでした。朝9時出勤~夕方4時45分には退社という、超絶ホワイティな会社でした。まわりの食品卸会社さんのブラックぶりを見るにつけ、「まるでコントラストのきいたオセロだな」とつぶやいたり、つぶやかなかったりしていました。なんせ、僕が飲みに出かける夜八時くらいにも他社のトラックを見かけるわけです。もちろん翌日の朝出勤する時も。のちのち勤務時間は8時半出勤〜17時半退社に改められます。

米卸業の本質

ある時「原価が上がっているのだから、値上げ交渉するべきじゃあないですか?」と主張した事もありました。しかし、社員に「それでは、お客さんが離れていく」と言われ、見送りに。とりあえず、まだ戦略を見つけられていない僕は、新規開拓の仕事をコツコツと続けました。月数件のペースで獲得できたりもするのですが、売値を低く抑えての新規獲得なので、利益にあまり繋がりません。また、商品も他社と似たりよったりなので、値段競争に陥いります。なんとかしなくはと、本を読み漁り、戦略を模索しました。

関西のお米屋さんの深イイ話

そんな時、仕入先の関西の米卸の会社に訪問しました。そこは、最新の精米工場を持っていて、2代目の社長がガリガリ経営している。そんな雰囲気の会社でした。その時のお話が心に残りました。1年ほど前、その社長が午後会社に戻ると精米工場の担当者が暇そうにしていました。「どうして、精米していないんだ」と訪ねると、「もう明日の注文分は作ってしまいました。やる事がありません。」
そう言われて社長は涙したそうです。「俺は情けない。もっと売らないといけない」工場を稼働させる事が自分の使命のように思ったそうです。営業社員を集めて熱く語ります。「工場のためにも君たちのためにも、仕事をもっと取ってくるんだ。値段を下げてお客さんを取ってくるんだ。お客さんが増えても、固定費が増えるわけじゃあない。ということは、安くでもとにかく売ってお客さんを獲得し、トラックや工場をめいいっぱい稼働させた方が合理的なんだ。それがうちの新しい戦略なんだよ。」そのあと社員は言葉どおりに獅子奮迅の働きで取引先を獲得していったそうです。
そして、6年後。その会社は、倒産しました。

米卸業界の最大のワナ

6年前にその話を聞いた当時、僕としては、「なるほどなぁ」という気持ちと、「それは、そうなんだけど、、、」という納得と違和感のちょうど中間ぐらいの心持ちになったのを覚えてます。なるほど、論理としては、通ってるような気がしますね?トラックと精米工場という設備を米卸会社は持ってますよ。で、安く販売していても、多少の利益になるのであれば、その資産をフルに稼働させる事で、最終利益は最大化する事になります。理屈はそうです。しかし、これこそが米卸業界の最大のワナだと気づきました。この戦略は「他社もそう考える」という視点が欠けています。むしろ、業界の動向を見ていると、米卸業の経営者は必ずこの戦略に収束していきます。苦しくなればなるほど、です。この事に気づいたのは、自分が生まれる前に書かれた本「競争の戦略」の325ページを読んでいた時でした。「過剰キャパシティの圧力」と書かれてました。ガツッと今までの疑問が氷解したような感覚がありました。

つづく

※僕が飽きてくるまで、つづくで締めたいと思います(笑)

 


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