読書をしている男性

山口周氏がマイブーム「ニュータイプの時代」を読んで考える


前回、この本を紹介するつもりが、気づいたらおすすめの著者を5人紹介するというブログになっていました。満を持してご紹介したいと思ってる次第です。
「ニュータイプの時代|山口周著」
ニュータイプの時代
長年、企業のコンサルティングを行ってきた方で、他の本も出してます。山口氏の代表作は「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」です。この本も良かったのですが、今回の本はさらにオススメできます。山口氏の主張は一貫していて、「論理思考だけでは、これからの時代を生き抜けない。美意識を鍛えて、感性を磨く事が大切」というものです。「~美意識を鍛えるのか?」ではなぜ鍛えなければいけないかをガッツリと解説するという構成になっていました。本作は感性を経営判断と行動様式に落とし込むという、より具体的な内容になっています。

ニュータイプとオールドタイプ

本書の序盤では、論理思考だけに頼り、正解を導こうとする行動様式をオールドタイプと定義しています。そして、オールドタイプがいかにこの社会を生き抜く上で厳しいかを豊富な事例を用いて解説しています。論理思考の何がいけないのか?それは、ほとんどのニーズが満たされてしまっている現代社会において、「論理的に答えを探す」ということは結果的に他社と同じ答えになってしまい差別化にならない。論理的に一生懸命考える事でみんなが儲からない道に進んでしまう「正解のコモディティ化」が起こってしまうということです。コモディティ化とは、一般化、陳腐化する事を言います。
そのような中、美意識を磨き本人の感性を信じ、それを論理で補強するようなニュータイプの経営者が必要なのです。

「ニュータイプの時代」と「~美意識を鍛えるのか?」の違い。マトリックスの提示

「〜美意識を鍛えるのか?」の方はどのように現代ビジネスマンが美意識を鍛えればいいかという、インプット目線の構成になっていました。「ニュータイプ」の方は、具体的なアウトプットのしかたについても触れています。これからの消費者は論理ではなく感性で動くというのが氏の主張です。では、感情という抽象的な部分をどうやって目に見えるようにするのか?とゆ~事で、こんな斬新なマトリックスを紹介しています。
ニュータイプの時代|マトリックス

“ニュータイプの時代|マトリックス”

「役に立つ」or「役に立たない」はまだ分かるとして、「意味がある」「意味が無い」???って感じですよね。前述したように現在の消費者は論理ではなく感情で動くとゆ~のが山口氏の主張です。では、消費者の感情を揺さぶるには何が必要か。それが、「意味」になります。
この本で出てくる車業界をこのマトリックスにあてはめるとわかりやすいです。
ニュータイプの時代|マトリックス2

このようになります。ブランド価値や、車の歴史、シンボルに価値を見出すというよりも、あくまで移動の手段やコストパフォーマンスで選ばれるのがトヨタ、スズキなどのメーカー。それが「役に立つ、意味がない」の左上のゾーン。そして、移動の手段でありながら、その車の持っているステータスやシンボルにも惹かれて購買されるのが、BMWやベンツなどのブランド。「役に立つ、意味がある」の右上ゾーンです。移動の手段としては、狭すぎたり高すぎるのですが、その車の歴史やシンボルに価値を見出し、購買されるのがフェラーリなどの超高級車のブランドです。「役に立たない、意味がある」の右下ゾーンです。
いかがでしょうか?こうしてみるとだいぶイメージしやすくなったのではないかと思います。
右のゾーンに移れるかが、現代社会のキモつまり、いかに右側のゾーンに移るのか?とゆ~事が経営者に課せられてた命題です。左側のゾーンはあくまで「論理」のみで勝負している世界です。そうすると、問題自体が少ない世の中で論理的な答えは他社と被りやすく、結果的に差別化から遠ざかります。会社の事業活動に意味を与え、右側のゾーンにポジションを取る必要があります。それでは、右側のゾーンに移るために「意味」を得るためにはどうすればいいでしょうか。

ストーリーと世界観が最後に残されたユートピア

右側のゾーンは、パクられるという経営上のリスクを回避できるポジションでもあります。斬新なアイディアで差別化を行い、うまくいっていても、他社に模倣される事で差別化が消えてしまい儲からない環境になっていきます。この、パクられるというリスクから守る事ができる経営資源があります。
・ビジネスモデル
・デザイン
・ストーリー
・世界観
この本では、ビジネスモデルとデザインはこの情報に溢れた社会において、簡単に模倣されてしまうと主張しています。しかし、会社独自のストーリーや世界観については、模倣できない要素です。そうです。お察しのとおり、事業に意味を与えるためには、ストーリーと世界観が必要です。そしてそれは同時に他社にコピーされにくい会社になる事を意味します。それでは、このストーリーと世界観をどのように表現すればいいでしょうか。順を追って考えていきましょう。

ベースとなるのは、やっぱりヴィジョン

ストーリーと世界観のベースになるのはやはりその会社独自のヴィジョンになります。ビジョンと書かずにヴィジョンと書いたのは、その方がちょっとカッコいいかなと。ここまで読んでいて、「ちょっと待って。うちの会社にはヴィジョンがすでにある」という方もいらっしゃるかと。しかし、山口氏は指摘しています。果たしてそのヴィジョンは魅力的なものですか?と。ヴィジョンには自分とその周りのテンションをアゲてくれるそもそもの魅力が必要。この考えはハッとさせられました。そうなんですよね~。な~んか。いろいろな会社のヴィジョンを読んでいても、あまりにも抽象的かつ言葉が綺麗すぎて食傷ぎみになってしまいます。自分たちもそうなるような気がしてたので、バシッとしたヴィジョン作りはやってませんでした。

ヴィジョンには構造が必要

そうなんです。思わず共感してしまうヴィジョンが我々には必要です。そのためには3つの英単語が必要です。WHAT、WHY、HOWです。多くの会社のヴィジョンはWHATだけを提示しているため、なぜそれをするのか(WHY)と、どうやってそれを実現するのか(HOW)が表現されてないため、読み手や聞き手の心を動かす事ができずに終わってしまうと。本書の例はこんな感じです。
グーグルの例ーWHAT
世界中の情報を整理し、誰もがアクセスできるようにする

グーグルの例ーWHY
情報の格差は民主主義を危うくするものであり、根絶しなければならない

グーグルの例ーHOW
世界中から最高度の頭脳を持つユニークなタレントを集め、コンピューターとWEBの力を最大限に活用する
いかがでしょうか。というか、凄い理由で事業やってたんですね。このように、「何をするのか」だけでなく「なぜ」「どうやって」を表現する事でしっかりとしたストーリーになり、ひいては自分も周りもアガるヴィジョンになっていくわけです。

お米のとけしのヴィジョンを整理する

ようやくここから、自社について考察する段階と相成りました。というか、このブログはここからが本番です。このままだとただただ本を紹介した人になってしまうので(笑)当社のヴィジョンは、あまり明文化してこなかったのですが、この機会にしっかりと整理したいと思います。

お米のとけしーWHAT
自由でシンプル、自己主張する米屋

お米のとけしーWHY
沖縄のお米卸業界は伝統的にシェア争いの文化。強引な売り込みを行い、結果的に儲からない業界を作っている。
品揃えは他社と比較して、不足が無いようにするあまり横並びとなり、お客様から見て、米卸ごとの見分けがつかなくなっている。
言い換えると、他社に追随したり、他社のシェアを奪ったりという事に終始しており、どこも「我々はこういう会社です」という自己主張を
お客様に対してしてこなかった。我々は自己主張する。わかりやすく、自由な発想でお客様に貢献する。

お米のとけしーHOW
社員の仕事に裁量を与え、お客様との自由なコミュニケーションを奨励する。品揃えをあえて絞り、味の土台であるお米の、あるべき品質を主張する。独自のオペレーションシステム改善を行いより無駄の無いシンプルな業務を構築し続ける。

ヴィジョンからストーリーへ

、、、、。ヴィジョンはこうなりました。うーんとりあえず、今のところの全力を出し切ったつもりです。どうしても、文量が多くなるのは仕方のないところかなと。グーグルのヴィジョンであれば、どのようなサービスを提供しているかなど、みんな知っているのでこの量で問題無いのですが。普通の会社のヴィジョンで自分以外の第三者が読む事を想定した場合、これぐらいの説明が無いと伝わらないと感じました。 これはやってみたところの正直な感想です。御社でも、もしヴィジョンが構造的に明文化されていないのであれば、参考にチャレンジしてみてください(^^)

そして、次回は初めてのストーリー作りにチャレンジしたいと思います。それでは、また。


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