終わりが見えないストーリーとジョジョ|実験3
「競争の戦略」については、クッソ分厚い&難解で、何度も挫折しました。しかし、読み切った時、色々な疑問が一気に解決しました。特に325ページ、「過剰キャパシティの圧力」は「米卸業界の事を言ってるんですか!ポーター先生ッ」と絶叫したような気もします。
キャパシティとは、許容範囲の事。要するに、今ある設備や人で対応できる仕事の量の事です。キャパってやつです。そのキャパシティが「過剰」という事は、人や設備がもっと仕事ができるのに、暇してるという事です。それが、過剰キャパシティです。
米屋業界は過剰キャパシティだらけ
米屋業界の話に戻りましょう。米屋業界は過剰キャパシティだらけです。特に設備です。この本でも出てくるのですが、業界によっては、需要に応じて設備がきちっと増やせる業界と増やせない業界があります。精米工場は増やせない設備です。例えば、月に73トン販売するための精米設備というものは存在しません。ピッタリという事はないのです。需要に対応できなくてもいいから、少し小さめの設備を導入しようという意識で判断しない限り、どうしても大きめの設備を導入する事になります。自分たちの販売量に対して1.3〜1.5倍くらいの設備を導入するのが普通です。そして、それ自体が間違っているわけではありません。要はだいたいどこの米屋さんも自分たちの販売量よりも大きい設備を導入してしまっている。その事を認識しているかどうかです。
そして、どこの米屋も設備を稼働させたがっている
そうです。これが、過剰キャパシティの「圧力」です。どのお米屋さんも設備に余裕があるので、工場を見て「今日も暇そうだなぁ。」と、思うわけです。で、この前の話のように、「稼働させなくては」という気になってくる。この目に見えない力こそ、圧力です。余っているものは使いたくなるのが、人情です。安くてもいいから販売量を稼ぐ事で、設備を稼働させる事ができ、利益を最大にする事ができる、、、、、はずなのです。理屈では。しかしこの見えない力はすべての米屋に働いているのです。つまりは、安値合戦アンド売上至上主義の業界構造になります。
売上・シェア争いになる理由はそこにある
よくビジネス書売り場で「売上見るな!利益だけ見よ!」とか、「シェア争いじゃない。これからはニッチだ!利益を出せ!」とかそ〜〜ゆ〜主張のビジネス書をよく見かけると思います。それを、見るたびに「いや〜世の経営者だってバカじゃないんだから、普通、利益の方を重視するでしょ。言われなくとも。」とか思いませんでした?少なくとも僕は思ってました。しかし、売上に走るのには、今回のような「過剰キャパシティの圧力」など、ワンクッション、別の力が働いている場合があるのです。実際にこの力は強力で、自分も最初は売上を上げる事に走っていました。元々過剰キャパシティの圧力は、利益を最大化するという目的がある事が落とし穴になっています。今ある設備で利益を最大化したい→ちょうど設備も暇そうだ→安くでも提案して売上が増えればその分利益が乗ってくる!→やったぜ!→値下げ合戦市場の出来上がり。とまあ、こうなるわけです。はい。物理法則のように。絶対にこうなるのであります。はい。
ジョジョの奇妙な冒険・第3部より
そもそも米屋業界は罠だらけ
そ〜ゆ〜〜わけで、「競争の戦略」との出会いはすごく大事でした。競争の戦略は、業界を分析する手法を教えてくれます。「過剰キャパシティ」以外にも分析を通して、米屋業界特有の落とし穴をいっぱい見つけました。「新製品・新規用途に飛びつく罠」や「従業員にキャリアパスを提供できない罠」など米屋業界は罠だらけです。長くなるので、詳細は書きませんが昔からある業界には結構あてはまる罠ではないかと思ってます。いわゆる成熟市場ってやつです。そして、この本を読んでからの当社の方針は、「自滅しないようにしよう」でした。陥りやすい罠は既にわかっているのでそこに自らはまる判断はしないと決めました。おっとストーリーとか言っときながら、うだうだ考察めいた事を書いてしまいました。ストーリーに話を戻したいと思います。
営業して感じた米屋の不条理
そんなこんなで、この時点では当社の戦略、、、。というほどのものはまだ全然出来上がっていません。とりあえず、業界としてどのような特徴や罠があり、そこにはまらないという意識だけは固まりました。僕としては、引き続きできる事をやっていくしかありません。未だ戦略は模索中です。引き続き飛び込み営業を行っていると、だんだん違和感を覚えるようになりました。行く先々でこういう声を頂くからです。「飲食店やってるとよぉ~~お米屋さんってさ〜〜営業に来るじゃん?で、あっ安いねってなってそこに切り替えるじゃん?そして、何ヶ月か経つじゃん?するとよぉ~~~~、味が変わってるのよ!前より美味しくなくなってんのよ!おめぇのとこもよ~~~きっとそうなんだろぉ!このドグサレがぁ!」
新手のスタンド使いっぽい喋り方ですみません。
ジョジョの奇妙な冒険・第5部より
喋り方はアレですが、主旨としてはこんな内容です。ここにも売上至上主義・値引き戦争の悪い面が出ていたのです、、、、。ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、、、、ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド、、、バァァァァーーーーーーーーーン!
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